2018年09月28日

「建築の日本:その遺伝子のもたらすもの」展

先日終了しましたが「建築の日本:その遺伝子のもたらすもの」展を見ました。
日本建築の鍵となる9つの側面に焦点を当てたたもので、古建築から現代建築まで多くの作品が展
示され、それぞれがどの様に引き継がれ展開して来たかということをあぶり出すというものです。

japan_in_arch_01.jpg

写真の木組みは「可能性としての木造」という章の入口に展示されていたものです。
一般的に木組みはよく寺社建築に見られ、装飾要素のように思われがちですが、元来は庇をより深
く伸ばしたいという目的があって生まれたものなのです。また一見同じように見えますが、時代と
共に様々に進化し、形の上でも力学的にも少しづつ異なっています。
現代の我々がこうした木組みそのものを使うことはありませんが、庇を伸ばすために工夫をし、更
にどのように見せるかということは最も検討したいところでもあります。
あるいは木組みそのものも、柱や梁などの構造架工がそのままインテリアとなる場合など、様々な
場面で伝統を意識せずにはいられません。

伝統は、囚われてしまうと作品がありふれたものになってしまいますが、その真髄に迫ることで新
たな創造を産み出す源泉ともなります。
更に伝統と向かい合い、それを乗り越えて新たに産み出された作品も、また一つの伝統となるので
す。

私も日頃から学ぶことが多く、常に意識しながら設計を行なっておりますが、今回の展覧会からも
改めて多くの刺激を受けることとなりました。

japan_in_arch_02.jpg

こちらは以前鎌倉の建長寺で撮影したものです(展示ではありません)
posted by shibata-arch at 22:28| Comment(0) | 建築

2015年09月08日

村野藤吾展

昭和を代表する巨匠、村野藤吾。彼のつくりだす造形美には艶があり、また時に大変クセの強さも
見られます。ただ模型を通して様々な角度から眺めるとそれは確実にツボが押さえられ、絶妙なバ
ランスの上に成り立っていることが分かります。彼の作品を見ているとついディテールに目が行っ
てしまいがちですが、振れ巾の大きい情熱と冷静さのあいだを上手に渡り歩くバランス感覚にこそ
”粋”を感じます。

目黒区役所として保存再生されている千代田生命保険本社ビル
murano01.jpg


日本興業銀行本店(現みずほ銀行本店)。先端のスリットが実に艶かしく、美しい。
murano02.jpg

posted by shibata-arch at 21:42| Comment(0) | 建築

2015年02月13日

丹下健三が見た丹下健三 展

設計作業に没頭していると、考えが深まり鋭くなってゆくに連れて周囲が見えなくなって来ること
があります。そんな時、一旦その場を離れて自分を客観的に見る俯瞰的な視点が欲しくなります。
世阿弥の言う「離見の見」というところでしょうか。
そこで模型を作っては眺め、撮影し、更には工事が始まってからも建物を撮影します。写真という
フィルターを通すことにより自らの手を離れ、外部から客観的に眺めることができるのです。更に
写真をトリミングするという作業を通し、俯瞰的な視点に立ちながら設計をより先鋭化してゆくこ
とができます。
丹下健三は言わずと世界に名の知れた巨匠でしたが、彼とてもこうした作業の中から作品をつくり
出していたのです。似たようなアングルの多くのカットが展示されており、その中の選ばれた1枚
にトリミングが入れられているのですが、その線もまた揺れ、あるいは2本引かれています。そこ
には完成された彼の建築からは想像のできない、様々な迷いがありありと表出されているのです。
そのひたむきに推敲を重ねる姿勢には、私の心に深く響くものがありました。

丹下健三展01.jpg


丹下健三展02.jpg

posted by shibata-arch at 20:27| Comment(0) | 建築